乳歯は子どものうちに抜けてしまう歯ではありますが、乳歯の状態は、その後に生えてくる永久歯にも多大な影響を及ぼします。そのため、乳歯のうちから歯を大切にすることが大切なのです。
乳歯がむし歯になると、後から生えてくる永久歯にも感染する可能性があります。永久歯をむし歯にしないためにも、乳歯が生えている間にむし歯をなくしておくことが重要です。
永久歯は乳歯の下から生えてくるものなので、乳歯のうちにむし歯になって抜歯した場所や形が変わってしまった歯によって、永久歯の歯並びにも影響することがあります。
食べ物をしっかり噛めるかどうかは、食べたものの栄養の吸収率を大きく左右します。健康な乳歯で毎回の食事をよく噛んで食べられることが理想です。
乳歯の健康状態は、言葉の発音にも影響します。乳歯が健康であれば、乳幼児期に覚えるたくさんの言葉をきれいに発音することができるようになります。
前歯が生えたら、お口を開けたり歯ブラシの感触に慣れたりするために遊び感覚で歯磨きをはじめましょう。この時期はきちんと歯を磨くことよりも、歯磨きの習慣をつけるために食後に歯磨きタイムをつくって、お子様に自分で乳児用の歯ブラシを持たせることを重点的に行うとよいでしょう。
1歳半になると、上下合わせて前歯が12本、奥歯が4本生えてきます。定期的に歯科医院に通って、生えている歯の数や種類、むし歯や歯の汚れ、噛み合わせなどをチェックしてもらいましょう。
この頃には、上下20本の乳歯が生えそろいます。むし歯が増えてくる時期でもあるので、歯科医院で噛み合わせやむし歯のなりやすさを、定期的にチェックしてもらうことをおすすめします。
小さなお子様の中には、歯磨きを嫌がるお子様も多いかと思います。保護者の方は、歯ブラシを口に入れることに慣れさせるところから始めて、少しずつスムーズに仕上げ磨きをさせてもらえるよう、根気強く取り組むことが大切です。
1歯ブラシの感覚に慣れさせましょう
お口を開けたり、歯ブラシの感触に慣れてもらったりすることを目標に、遊び感覚で歯磨きを始めましょう。
2歯をよく見ながらブラシをあてましょう
歯茎や舌、上唇の裏筋などにブラシをひっかけないよう、人差し指でガードをしてください。裏側も丁寧に磨いてあげてください。
3奥歯を磨きましょう
奥歯は人差し指を入れ、ほほを膨らませると磨きやすくなります。
4磨き残しがないか確認しましょう
ブクブクうがいをさせ、最後に磨き残しがないか確認をしてください。
自分で歯ブラシを持たせたりして、遊び感覚で歯ブラシに慣れさせるようにしましょう。仕上げ磨きは大人の方が行ってください。
引き続き歯ブラシに慣れさせることに重点を置きます。大人の方が仕上げ磨きをするときは、特に前歯の歯の間に注意して磨いてあげるようにしましょう。まだ歯磨き粉は必要ありません。
少しずつお子様自身で歯を磨く練習をしていきましょう。奥歯が生えてくる時期なので、仕上げ磨きは大人の方が必ず行ってください。
6歳頃には、乳歯の奥歯の奥に最初の永久歯(6歳臼歯)が生えてきます。この6歳臼歯は一番大きく、噛む力も最も強い大切な歯ですが、むし歯になりやすいという特徴があるため、特に注意する必要があります。「6歳臼歯がなかなか生えない」「6歳臼歯のあたりを痛がる」「歯並びがおかしい」など何か気づいたことがありましたら、すみやかに当院までご相談ください。
この頃には、親知らずを除いてすべての永久歯が生えそろいます。生えたばかりの永久歯はむし歯になりやすいですが、一度でも治療をすると天然歯に比べて見た目も強度も劣るようになります。小さいうちから歯磨きの習慣をつけて、きちんと毎日歯磨きを欠かさないよう、周りの大人が気を付けてあげることが大切です。
乳歯や生えたばかりの永久歯は、むし歯菌が産み出す酸に弱く、むし歯になりやすくなっています。歯にフッ素を塗布することで、酸に強くなりむし歯を予防することができます。
乳歯の奥歯が生えてきた頃(1歳半頃)から、12歳臼歯が生えてしばらくの間(14~15歳くらいまで)は、定期的にフッ素塗布を行うことをおすすめします。
歯列矯正は大人になってからでもできます。しかし、子どものうちから矯正治療を受けることで、身体的・経済的な負担を軽減することができるうえに、顎の成長をコントロールしながら理想的な歯並びに近づけることができます。
妊娠するとホルモンバランスの関係で歯周病や歯肉炎になりやすくなりますが、歯周病菌が血液を通して体内に入り込むと、早産や流産の原因になるといわれています。また、生まれたばかりの赤ちゃんにはむし歯菌はいませんが、保護者の方にむし歯菌があると、お子様にむし歯菌を感染させてしまう可能性もあるのです。妊娠中の方、およびこれから妊娠を考えておられる方は、むし歯を早期に治療して、むし歯のない健康な状態で産まれてくる赤ちゃんを迎えましょう。
Q妊娠中はむし歯になりやすいの?
妊娠中は、体内で女性ホルモンが増え、女性ホルモンを好むむし歯菌や歯周病菌が増殖しやすくなります。そのうえ、つわりで歯ブラシを口の中に入れることがつらくなってしまう時期があることから、妊娠中はむし歯や歯周病、歯肉炎になりやすいといわれています。
歯磨きがつらいからといって、それらの症状をほうっておくと、早産や流産のリスクが高まることになりますので、できる範囲で毎日お口のメンテナンスをしていくことが大切です。
Q治療はいつ頃すればよいの?
妊娠中に歯科治療を受けてはいけない時期は特にありません。ただ、安定期に入ってからお腹が大きくなる前の、妊娠17~30週までが歯科治療を受ける最適な時期だと考えられています。
つわりが続いている場合や体調がすぐれないときは、短く軽めの処置にしてもらえるよう、治療前に担当医や衛生士に相談しておくとよいでしょう。
QX線や麻酔治療は大丈夫でしょうか?
妊娠3週~15週の間は、胎児が催奇形性因子に弱い時期ですので、できればこの時期にX線検査を受けることは避けましょう。しかし、X線検査はお口の中だけに放射線を当てるため、お腹まで放射線が当たることはありません。また、当院では被ばくを防ぐために鉛のエプロンを肩から掛けて撮影を行いますので、被ばくの心配なく検査を受けていただけます。15週以降は胎児へのX線の影響はなくなると考えられていますので、安心して治療を受けましょう。
麻酔についても、使用する麻酔液の量は少量ですし、麻酔液も麻酔をした部分で分解されてしまうので、体内に入り込んで胎児に影響を及ぼすことはありません。母乳を通して赤ちゃんの体内に届いてしまうこともありませんので、ご安心ください。
当院では待合室に1つ、ファミリールームに2つキッズスペースを設けており、小さなお子様も楽しんで通うことができ、保護者の方にも安心して治療を受けていただける歯科医院づくりをしています。育児中の歯科医師や子どもが大好きなスタッフが皆様のご来院を心よりお待ちしておりますので、どなた様もお気軽に治療を受けに来てくださいね。詳しくは当院が取り組んでいる「Always mama's DAY」をご覧ください。